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ウロギネコロジーとはUrology(泌尿器科)とGynecology(婦人科)を合わせた造語で、泌尿器科と婦人科の境界にまたがる腹圧性尿失禁、過活動膀胱をはじめ、骨盤臓器脱など女性の骨盤底筋の機能低下により引き起こされる病態を診療する分野です。
骨盤底筋の機能低下は妊娠、出産、加齢、肥満などで起こります。女性の骨盤には赤ちゃんを育む生殖、そして排尿、排便の三つの働きをする臓器があります。それぞれは独立していても、影響し合っています。妊娠、出産、肥満等により、骨盤底筋が傷ついたり緩んだりします。女性は特に更年期以降、臓器の弾力性も低下し、支えを失い、骨盤内の臓器、膀胱や直腸が落ちてくることがあります。
それにより咳やくしゃみをしたり、笑ったり、ランニング、縄跳びなどで腹圧が上がると尿漏れの症状が出たりします。
また、女性ホルモン(エストロゲン)の低下により萎縮性膣炎も起きやすくなってきます。
骨盤臓器脱や尿漏れについて以前は婦人科で膣の粘膜を縫い縮めたり、高齢者では膣を閉鎖する手術が行われていましたが、泌尿器科との間にまたがる分野のため、その後泌尿器科ではメッシュを使った骨盤内臓器を引き上げる手術が行われるようになってきました。私たち婦人科医も泌尿器科の先生方に手術の依頼をすることが増えてきましたが、2011年以降、メッシュ(異物)を挿入する手術に対して欧米で警告が出された影響でこれらの手術も減少しつつあります。このような症状のとき、どのような治療をしたらいいのか、またどこで相談したら良いのか迷い、恥ずかしさから我慢しがちですが、手術のような大がかりにならず、外来で治療できるストレスの少ないレーザー治療も最近行われるようになってきました。
当院は不妊症を専門とし、思春期から閉経後までの女性の健康をバックアップする理念から、相談しにくいこの分野での治療もはじめます。お気軽にご相談ください。女性史全う中 伊藤 知華子(over fifty)
尿漏れ(腹圧性尿失禁)
咳やくしゃみをした時、笑った時、ランニングや階段を上る時など、急に腹圧が高くなった時に尿が漏れてしまう状態をいいます。
膣のゆるみ(膣弛緩症)
膣壁がゆるんだ状態で、性交時の密着度が低下したり、入浴時にお風呂のお湯が入りあとから漏れる「お湯漏れ」とよばれる症状も起こります。原因としては出産後、骨盤底筋に細かい傷がつき、伸びて起こることが多いです。
かゆみ・性交痛・頻尿
(萎縮性膣炎)膣壁が硬く、薄くなっている状態です。更年期以降の女性や若くても乳癌の治療後、女性ホルモンを抑える 薬剤を使っている女性にも起こります。乾燥したり傷 つきやすくなることにより様々な不快症状、膣のヒリ ヒリ感(炎症)、かゆみ、性交時の出血・痛みなどが現れます。
インティマレーザー ※予約制
治療の前に局所麻酔スプレーを噴霧し、膣に器具を挿入してレーザーを膣内と膣口、尿道口の周囲に20分前後しっかり照射します。少しむくんだ感じがしますが、痛みもなく安全です。
医師の診断により最も効果的な治療が行えるよう、症状に合わせて出力・設定・治療回数などを調整しています。
時間がたつと筋肉が弱ってくるので、もう一度レーザーを当てる必要がでてくることがあります。
治療後はすぐに日常生活に戻ることができ、副作用はほとんどありません。インティマレーザー施術までの流れ
※出血の無い時期に受診してください。
※遠方の方は、一度お電話にてご相談ください。(平日13:00~13:30)費用
この治療は保険適用がなく、自費の治療となります。
1回 80,000円(税別)
※その他感染症検査(HBs抗原、HCV抗体、梅毒、HIV)の費用4,000円(税別)が別途必要となります。
薬物療法
過活動膀胱とは通常、頻尿や夜間頻尿があり、水の流れる音を聞いたり、トイレのノブを握ったりした時に尿意を我慢できず失敗してしまうようなタイプの切迫性尿失禁を伴う症候群で薬物療法が有効なことがあります。
萎縮性膣炎には、症状が強い時に女性ホルモン剤を内服したり、膣内に挿入して症状をやわらげることができます。ペッサリー
ペッサリーは膣の中に挿入し、膀胱や直腸が落ちてくるのを抑える器具です。挿入してしまえば、違和感もなく、性行為も行えますが、入れっ放しにしておくと膣の中に傷がついてしまうことが多く、定期的に通院し、洗浄を受けなくてはなりません。一度炎症を起こすと、挿入することができませんし、癒着して取り出すことも困難になります。このため、最近では自分自身で着脱し洗浄するように推奨されています。
骨盤底筋体操
骨盤底筋を鍛えて、尿失禁を改善する体操が骨盤底筋体操です。この体操は継続して行う必要がありますが、簡単で、費用もかからず、自分だけで行うことができます。
レーザー治療後の方にも、併せて行うことをお勧めしています。高校時代の同級生である奥井識仁先生が女性泌尿器科医として活躍しているのを知り、講演を頼んだり、患者さんを紹介したりしたのがキッカケでウロギネコロジーに親しみを持ちました。
今回、彼に学んだことにより新たに悩める女性への相談に乗れる治療を始めることにしました。よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック
院長 奥井 識仁先生